以前、女性タレントの追っかけをしていた私は、東京中で購入したいろいろなお菓子をよく差し入れしていました。
そんな私は、「東京はレベルが高いけど、そろそろほかの地域の差し入れも」と考えていました。
「面白いお土産が何かないか」と私が友だちに聞くと、静岡県沼津市にある「冨久屋(ふくや)」のロールケーキを教えてくれました。
私は沼津市まで遠征することにしました。
「冨久屋」は、オーナーの長澤成光さんが考案したロールケーキ「イタリアンロール」が有名な洋菓子店です。
完全予約制の「イタリアンロール」を購入する話をすると、「よい機会なので私も1本ほしいな」と友だちに頼まれ、沼津に向かう1週間前に私の分も含め7本予約しました。
予約すると同時に、店舗までの行き方を確認した私は、沼津駅南口から、沼津登山東海バスの市役所前バス停で下車、徒歩約3分のところにあるとわかりました。
店舗の開店時間の10時から逆算すると、「6時台の列車に乗車すれば、ちょうど開店の30分前に到着できるだろう」と考えました。
「冨久屋」に向かう当日、東海道本線で東京駅から2時間半ほどかけて、静岡県の沼津駅に到着しました。
沼津駅南口のバスロータリーから、沼津登山東海バスに乗車し、市役所前バス停に向かいました。
開店の30分前、冨久屋に到着しましたが、私の前に並んでいた数人の人たちに、「東京から来た」と言うと、皆さん驚いていました。
そうこうしているうちに、待ちに待った開店時間の10時になり、「イタリアンロール」を手に入れました。
7本の「イタリアンロール」と保冷剤を詰めた箱は、相当の重量がありました。
「イタリアンロール」を待っている友だちのために、私はしっかり荷物を持ったまま、路線バスで沼津駅まで戻りました。
「イタリアンロール」は、まろやかなバター風味のスポンジ、さっぱりとした生クリーム、中に細かく刻んだ栗のかけらが入ったケーキです。
外側のしっとり、もっちりした口当たりのシュー皮のコクがある卵黄の風味が広がります。
スポンジと生クリーム、シュー皮の食感と絶妙のバランスが、美味しさの秘密です。
シュー皮の表面にはスライスしたアーモンドが施されており、食べ終わると、香ばしい香りで満たされます。
沼津駅から帰るとき、JR東日本の八高線拝島駅の青梅線と五日市線の乗り換え口で、私は友だちと待ち合わせの約束をしていました。
10時40分ごろ沼津駅に到着した私は、余裕をもって町田駅まで乗車する特急あさぎりの指定席が取れました。
私が町田駅から待ち合わせの時間より30分早く拝島駅に到着すると、もう友だちが待っていたので驚きました。
私が友だちに1本「イタリアンロール」を渡すと、「わざわざ行くとは思わなかったけど、本当にありがとう」と、とても喜んでいました。
拝島駅近くの喫茶店で、私は友だちにアイスコーヒーをごちそうになりました。
友だちと別れた私は、拝島駅から5分ほど歩いて女性タレントの事務所に向かいました。
6本の「イタリアンロール」を持っていた私の姿に気づいた事務所の方が、「遠いところからお疲れさま」と言ってくれました。
「お土産です。皆さんで食べてください」と言うと、事務所の方は「こんなにいいの。本当にありがとう。帰ってきたら渡しておくね」と言いました。
ようやく私は、“お土産を渡す” 重責を果たしました。
事務所でもコーヒーをいただいた私は、帰路に就きました。
「イタリアンロール」を食べてみると、ホイップクリームと栗の甘露煮の相性はとてもよく、予想に反していました。
私はコンビニエンスストアで購入した紅茶を飲みながら、はるばる沼津まで行って購入した「イタリアンロール」の味を堪能しました。
数ヶ月後にイベントで会った女性タレントが、「先日は『イタリアンロール』ありがとうございました。本当に美味しかったです」と小声で言っていました。
沼津まで時間がかかりましたが、これほど「イタリアンロール」を喜んでもらえたことに驚きました。
しばらく沼津に行っていませんが、機会があればまた「冨久屋」に行ってみたいものです。